良い家に住みたい | 建築随想「仙芳丸航海日誌」
ヤマグチ建築デザイン
良い家に住みたい

自分が大切に思うもの、大切に思う人たちとともに過ごすことができる場所、それが家なんだろうと思う。

住宅の相談を伺うときに、大切にしたいものは、なんですか、という話をたくさんする。それらをたくさん聞いていくのが、僕自身の役割で、それらの総体を、新な住まいで実現するのが、依頼者にとっての「家づくり」なのだ。

 

だいたいにおいて、好きなことを話している人は、幸せそうだ。「あれがね、好きなんですよお。」「いやあ、たまらないっすよ。」「え?山口さんも好きなんですか。」「忙しくても、やっぱり、あの時間は大切にしたいですねえ、だって、好きなんですもん。」、、、こんな具合だ。こういうのを「好きすき大好き問題」と名付けてみる。

 

一方、家を建てるときに予算の少なさに幻滅したり、どこでどうやってお金を借りようかと比較検討したりする段階がある。そういった「お金問題」に対して、頭を悩ます人がまことに多い。「好きすき大好き問題」を住まいの中で実現しようとすると、「お金問題」に押さえつけられるパターンが多い。でも、「お金問題」に対して、あまりにも萎縮して、「好きすき大好き問題」を放棄するのはナンセンスだと思う。ひどい場合には、余りにも「お金問題」と格闘しすぎて、「お金問題」に対して、自分の中で折り合いをつけることができた時点で、家を作るということが、達成されたかのような錯覚を持つ人もいる。だがしかし、家はお金ではない。

 

「お金問題」というのは、個人で戦うような相手ではなく、「勝ち負け」ですら、ない。あなたにとっての「予算枠」は、急に増えることはなく、それは、足元で横たわっている。変えることのできない現実として、生活のベースとしてある。そして、ここが肝心なのだが、「お金問題」は、個々人にとって、程度の差があるだけであって、誰にとっても「足りない」と感じさせるような代物だ。それが消費社会・金融社会に生かされている多くの人の感覚なのだが、そういった感覚を現代に生きる日本人は、身につけさせられている。

 

「お金問題」に萎縮するのではなく、諦めきれないこと、自分自分が「ああ、これが好きだ」と心から言えることを、住まいの中に点在させるように意識していくことが、良い家の条件のように感じている。「好きすき大好き問題」を貫徹するのだ。自分が大切に思うもの、大切に思う人たちとともに過ごすことができる場所、それが家なんだろうと思う。そこまでが、家を建てたい!と思う人の大切な事柄であって、それを携えながら、ゴールを目指していけば良いだろうと思う。

 

普段は、こんなスタンスで設計の仕事に臨んでいる。住まいの相談を受ける際に、その家族が好きなこと・大切にしていることをたくさん話してもらって、それらが日常の中で実現できるようにすることが、建築家の役割なのだろうと思っている。そういう状況を作り出せたら、そこは天国であり、楽園になると思う。日常を豊かに充実して過ごせるような居場所を作るのだ。

 

| 06:36 | comments(0) | - |

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