謹賀新年 | 建築随想「仙芳丸航海日誌」
ヤマグチ建築デザイン
謹賀新年

建物は兵士ではない。

死んでもすぐに補充されて、

戦線には「何も異常なし」と片付けられてしまう兵士ではない。

 

街は人が暮らしていくための場所なのであって、

建物は、人々の暮らしのために建てられるものなのだから。

用済みになった建物が全く無造作に壊されていくというこの現実は、

我々の暮らしが無造作に変えられて行きつつあることなのだ。

 

それは進歩というものなのであって、

何も心配することではない、と言われ続けて、ここまで来てしまった。

我々は心配して良い。

建築を美しいイメージで語ることによって、

建築家たちは実は新しさだけを求めて来たのではなかっただろうか。

 

我々は建築を概念の産物として捉えすぎていなかっただろうか。

もっと我々は自らの実感に即して、建築を見直すべきではないだろうか。

勇ましいフロンティア・スピリットというのは、

インディアンたちを見ることのできなかった、「空白」の意識のことではなかったのか。

 

 

以上、故鈴木博之先生の著書から引用しました。鈴木先生は、建築史家・建築評論家として長い間活躍された方でした。この文章は、日本が経済的に成熟の頂点に立った時に書かれたもので、当時の建築家・建築メディア業界への批評文です(『建築は兵士ではない』1974年)。年に初めにあたり、思い出したので、本を引っ張り出して引用しました。43年前の言葉です。

 

今年もすでに多くの宿題をいただいて、お正月休みみたいなものは全くなしで、働いていました。児島を中心にして、地域に関わって活動ができることを大変嬉しく思います。今年もよろしくお願いいたします。

 

| 11:05 | comments(0) | - |

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