醤油と土壁と設計事務所 | 建築随想「仙芳丸航海日誌」
ヤマグチ建築デザイン
醤油と土壁と設計事務所

この間、今年2回目のヤマロク醤油に行きました。小豆島の醤油屋さんは、未だに木の樽を使っているそうで、これは全国的にも珍しく、もっと誇ってもいいことだと思います。

 

 

代々受け継がれてきた醤油蔵には「麹菌・乳酸菌・酵母菌」が、樽や土壁に潜んでいて、放置しておけば醤油が出来上がるのだそうです。原材料の「大豆、小麦、塩」を厳選した上で、先人たちがやってきたように、淡々と作っていくだけで、もうそれだけで、貴重な醤油が出来上がるという運びです。アミノ酸やグルテンの人工的な投入は不要です。

 

いかに効率的に商品を作リ、大量に売りさばくか、というのが、会社の、そして社会全体の発展の礎だと、思いながら生活が重ねられてきましたが、ここにきて、その思想の行き着く先に、希望が見出せずにいます。醤油蔵での先人たちの作業は、時間がかかり、面倒なことも多いのだと思いますが、その方式が現代の金融優先の社会でも通用するなら、これからも続けてほしいものだなと思ったのでした。

 

 

一方、こちらは「土壁風」の壁を持つ、小さな改修工事の写真です。3階建ての鉄骨住宅の一階だけを改修するという仕事でした。ご夫婦は退職を控えたお二人で、長い人生の最終章を迎える前に、生活を整えたいというご希望で、将来は、一階だけで生活が完結するような計画を提案させていただきました。写真にあるのは、現在は居間として使い、将来は寝室としても使えるという設定です。

 

また先日は、知人の依頼で、二時間の打ち合わせとその後大工への施工指南をするという、「三時間パック」のような仕事をさせていただきました。図面らしきものは、本当に書いておらず、依頼者の気になるところを伺い、フリーハンドでスケッチを繰り返すこと二時間、その後、工事をしてくれる大工さんを呼んで、その場で、説明して、見積もりを依頼するという方式です。

 

2軒ともに共通するのは、お金の大小ではなく、どんな生活をしたいのか、という点を大事にしながら、これからの生活を住まいに投影しておられたことでした。このような形で、ヤマグチ建築デザインが関われるのは、素直に嬉しいものでした。それは町医者のようであり行きつけのカフェやパン屋のようです。醤油蔵の菌たちが自然と醤油を作るように、児島の小さな設計事務所も、自然と地域のお役に立ちたいものです。今年もあと二ヶ月ほどです、頑張ります。

 

 

 

 

 

 

 

| 16:14 | comments(0) | - |

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