五右衛門風呂の新展開 | 建築随想「仙芳丸航海日誌」
ヤマグチ建築デザイン
五右衛門風呂の新展開
過去にも何度か登場した我が家の五右衛門風呂ですが、今回も再登場です。



先日、五右衛門風呂浴槽を作っているメーカーの方が、訪問くださいました。なにしろ、昔ながらの浴槽を現代生活に適した使い方にしたのが、私の住宅が最初だったので、第一号を拝見したい。とのことでした。その後、この方式を武器にいくつもの家庭に納品しているとのことで、ぜひ!見せて欲しい。とのことでした。
確かに、最初のやり取りの際には、私の要望をなかなか素直に受け入れてもらえなかったことを覚えています。つまり、給湯器からのお湯をボタン一つで浴槽に満たしていく、あの浴槽の中の丸い出っ張り(私たちは循環アダプタと呼んでいます)を、浴槽の側面に取り付けたのが、最初だったのだそうで、銭湯などの大きな浴槽の場合にはしたことがあるけれど、曲面の多い家庭用の小さいものでは出来っこない、と思っていたようで、私の無理な要望が功を奏した形になります。

こんなことを報告すると、いつも、こういう特別なことをしているようにも映りますが、実際は、伝統的な民家をベースにした日本の風景に合うような住宅を作り、そこに少しだけ、スパイスを加えているというのが、実態です。突飛なものとか、思いつきで考えたものというのは、天才がやれば突き抜けた素晴らしさがあるのですが、私のような凡人がそんなことをすると、必ず破綻をきたしたような状態になるので、何百年もの歴史を重ねた民家をベースにすることにしています。民家は、多くの人たちの知恵の集積ですし、別の言い方をすれば、数え切れないほどの製品テストをくぐり抜けてきた優秀な住まいです。


(写真は、過去の作品例です)

そんなわけで、現在、古い住宅の再生工事というものにまた取り掛かっているところです。
私は住宅メーカーのように、土地を用意したり、住宅ローンの手続きを全て請け負ったり、ブランド力に任せた営業を仕掛けたり、車のオプションを選ぶように楽に設計をしていくような、そんな仕事のスタイルをとってはいません。それゆえ、私のような存在を見つけて、ここの事務所にまでたどり着いてきたお客様のことを、ある意味尊敬していますし、この難しい時代の中で、そのたくましさを発揮されるお客様たちの姿に安堵するような気持ちを覚えることもあります。
住まいを考えるときには、お金の問題や家族の問題を整理するのが、精一杯で、なかなか自分たちの理想の住まいというものを考える時間を取れないのが、実際ではないでしょうか。個人で設計事務所をする場合には、なかなか幅広い対応が難しいものですが、来年に向けてまたいくつかのプロジェクトが与えられていることに感謝しつつ、忙しい秋を過ごしているところです。
| 01:48 | comments(0) | - |

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