「准限界集落」は、最先端。 | 建築随想「仙芳丸航海日誌」
ヤマグチ建築デザイン
「准限界集落」は、最先端。
外車賛美!の傾向がいつまでも続く日本の自動車ジャーナリスト業界ですが、VWの新型ゴルフ(7代目)が鳴り物入りで登場した割には、発売後のトーンダウンが激しく、どうやら、体験してみると先代とそれほど変わらず、むしろコストダウンの悪影響が出ているほどで、技術肌の両角岳彦さんなどは試乗直後に先代の方がよかった、と評したほどの出来だったようです。まるで、ワインの先行きを占う、ボジョレーヌーボをはやし立てる日本マスコミのように、比較的あっさりとした実用車であるゴルフを発売前から大賛美していたのだけれど、乗ってみると、去年の畑の方がよかった的なムードが漂っている舶来品大好き業界が、評論家と呼ばれる人たちなので、その記事を読まされるクルマ好きな人たちは何ともかわいそうな気になります。

ゴルフは確かに小型実用車の中で高レベルなのですが、アクセラのほうが断然いいし、レヴォーグも負けてはいないのですから、ボジョレー祭りはそろそろ止めておいて、この日本酒はフランスワインに十分勝っている!と評論家諸氏には宣言して欲しいものです。メルセデスのFF車は三菱ベースですし、VWの小型車はスズキ車ベースです。また、変速機のアイシンや電装系のデンソーなどの日本メーカーの助けによって、ヨーロッパのクルマは出来上がっていますので、俎板の上の鯉状態で経済的に厳しい状況の続く日本市場が、たまたまクルマが売れない状況だから、日本メーカー陣が安いクルマばかり作らされているだけであって、そういうねじれ構造を知っているはずの評論家が、さすがです、VW様!というのは、大人の事情を差し引いても、納得がいかないところだなあ、と私なんかは眺めています。



さて、このブログは建築ブログですが、以前のブログからかなりこういう横道に逸れたことも書いてきましたので、冒頭からぶっ飛んだ文章でしたが、今回は、以前からたまに書いている、下津井の件の続報をお届けします。

じつは、下津井に市民活動の延長での美術館を準備していまして、方々で頭を下げて、未だ実体のない美術館を、さも実態があるかのようにしゃべる訓練をしているところですが、基本環境としてその地域の人口とかその構成というのはとても大事で、大事なのは、他地域との比較の上で一番分かり易いものだからで、産業構造や公共サービスも大事ですが、まずはビール!、じゃなくて、まずは、人口とその構成の確認が大事なんです。

それで、注意深く調べてみると、どうやら、下津井地区は、「准限界集落」になっていました。限界集落(注、という呼び方自体が気に入らなければ、共同体としての維持が難しい集落、などに言い換えて読んで下さればいいです。先に、この地域で年間100人が減っていることは確認したのですが、これは、児島地区全体が年間500人の減少で(2014年4月時点人口72,000人)、その内の100人が下津井地区なのはかなりのウエイトを占めているという理解で、市長、これは過疎化といっても良い状況です、と先日の「市長と語る会イン下津井」で倉敷市長にも言ったのですが、10年以上、順調に下り坂を下ってきて、この春には5,300人になっているこの地区の年齢構成から見た一つの指標としては、「准限界集落」に相当する地区になっていた、ということが今日、分かりました。

倉敷市自体は50万人近い人口があり、一般的なイメージである観光都市というよりも、工業都市として成績を上げている都市で、それなりの活気がある都市ですが、いっぽう、私が取り組んでいる集落では、「准限界集落」になっていた、ということですから、「隠れた過疎」とか、「忘れられた外周集落」とか、そういう言葉を作りたくなるような状況です。二つある小学校のうち、一方では三学年が一桁の生徒しかおらず、昔でいえば、離島や山奥のような「僻地の集落」に相当する状況が、もう、既に到来している、という状況です。おそらくですが、合併を繰り返したあげく、かつての中学校区くらいで構成される集落単位の状況というのは、より、分かり難くなっているはずで、意識的に数字を調べてみないと、「隠れた」ままになっていることでしょう。これは、日本全国で同じ状況です。

昨年の今頃から、これからは下津井がナウでヤングだよね、と仲間で話しながら、年末には具体的な動きに移りましたが、「隠れた過疎」を、オモテに引きずり出した理由というのは、この過疎状況というのが、他地域を先取りした状況だからで、その他の、まだ「過疎」になっていない地域も、今の55歳が85歳を迎える30年後には、現在の下津井のように「准限界集落」に突入する集落が多数出てくるはずですから、現在の下津井において必要とされる幅の広いニーズ・生活需要(商業的需要だけではない)を整理して、それに解決を与える活動をしていくのは、とても価値があることで、後退した地域、という印象からは逆説的な考え方を持ち、下津井などの過疎地域を、課題の先端地域、などと表現することもできるわけです。つまりは、下津井での課題解決手法が他地域にフィードバックできる、ということです。この状況は、311東日本大震災で甚大な被害を受けた地域でも、全く同じで、現在東北において課題解決に奔走している人たちの活動というのも、わたしは興味深く見ているところです。

なぜ、建築家や美術家などのモノを作る作家がこういうことをしているのか、うまく理解できない方もいると思いますので、その点もあえて説明しておきますが、私たちというのは、常に今の世の中の諸問題に対して、自分なりの解答を発表して行く訓練を個々人の作品制作の中で行なっていまして、そのアウトプットが作品ではなく、町に溢れ出して行っているというのが、今回の動きになります。それが、美術館を軸にしたまちづくり活動になっているということで、私たちにとっては、とても自然なことで、まったくお金にならないという点を除けば、私たちにとっては、日頃の仕事と同列に扱っているものなのです。

ボジョレー祭りを繰り返す都市の喧噪を離れて、ココこそ最先端の集落だと、そんな下津井で、楽しくやっています。


<関連記事>

(注
存続集落;55歳未満、人口比50%以上;
跡継ぎが確保されており、の機能を次世代に受け継いでいける状態。
準限界集落;55歳以上、人口比50%以上;
現在は共同体の機能を維持しているが、跡継ぎの確保が難しくなっており、限界集落の予備軍となっている状態。
限界集落;65歳以上、人口比50%以上;
高齢化が進み、共同体の機能維持が限界に達している状態。
超限界集落;特に定義なし;
特に定義はないが、限界集落の状態を超え、消滅集落への移行が始まっている状態。
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