倉敷建築工房 山口晋作設計室
モダン家具で空間に彩りを作る
古民家を改造した住宅などの仕事をしていると、古いものがお好きなんですね。などと言われることが多い。それは間違いではないのだけれど、もう少し正確に言うと、質の高いものが好きだ、ということになる。
特に戦前までの民家には、室町以降の日本建築が持っている英知が集積されていて、農家の納屋でさえ、うっとりすることが多い。無限にも迫る多くの先輩たちのフィルターをくぐり抜けてきたものが、こんにち、雑誌などで「古民家」と呼ばれているものだ。わたしが糾弾する戦後住宅が、数十年の科学的合理的な試験を受けて、そして安価に製造(!)されて、この世に生まれてきたのとは対照的だ。
そういった、質の高い骨格を背負った上で、どのように料理して行くかという段階で、「古いものが好き」という感覚を延長してくと、重要文化財の建物を工事しているような状況に陥ることになるが、そうではなくて、あくまでも現代の建築を作っていることを考えると、あとは、設計者の感覚に委ねられることになり、私の場合は、古民家再生工房のシキタリに倣って、設計していくことになる。

今日の主題の「モダン家具」というのも、その手法の一つで、重厚で品のある骨格のなかで引けを取らない家具を据えるのが、仲間の中で流行り、切磋琢磨の末、数々の作品が生み出され、それを教わった私たち第二世代も倣って行ったというかたちになる。
わたし自身の場合は、自宅兼事務所でキッチンカウンターを緑色に塗ってみたり、仕切り壁にしっかりとしたレンガを積んでみたりしたが、そういう「家具作戦」の中で、カフェゲバ(林源十郎商店の喫茶店)は、家具だけを作り上げた特異な仕事となった。


今回、古民家でもなく木造でもない建物を新築するにあたり、なんでも無いAVラックを設計してみたけれど、家具の周りが元々モダンなだけに、重たさを感じるようなものは不釣り合いなので、スケスケであまり色のついていないものを用意している。きっと、普通の人はここからスタートするのだろうけど、私の場合は、ぐるりと回ってここまで来たことに、書きながら気付いたのでした。

| 22:29 | comments(0) | - |

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