それは、結婚を考えてお付き合いするかのようです | 建築随想「仙芳丸航海日誌」
ヤマグチ建築デザイン
それは、結婚を考えてお付き合いするかのようです
住まいを考え始めて、だんだんと、知識も増えて来て、理想の住まいを絵にしてみたり、欲しい部屋や機能を箇条書きにしてみたり、はたまた、雑誌の切り抜きを重ねてみたりと、住宅を考え始めて数ヶ月もすると、人それぞれのペースで、こういった状況が、展開されていくのではないでしょうか。
同時にお金の見通しも立てなければいけませんから、お金持ちならいざ知らず、労働人口9割が給与所得者の現代日本では、多くの人が借金をして、住宅を建てますので、銀行のお世話にならなければならず、自分の収入と手持ちのお金と銀行利息との相談で、予算額の一定ラインをはじき出します。
ここまでくれば、もう建ったも同前だ!俺も家を建て一人前になるのだ。と息巻いて、ゆっくり床につくという、そういう人も多いかもしれません。

しかし、まだ先はあります。
次に待ち受けるのは、(どこに建てるのか、というのは今回はスットバカシますが)誰に頼むのか、という段階ですが、ここまで来ると、もうヘトヘトで、残された気力体力も僅かになっているので、気軽に手軽に事が運ぶように、これまた数ヶ月で、決定し、そこから半年以内には引越をしているという、まるで、三回目のデートで結婚を決めるという超スピード結婚の様相で、住宅を建てていく人が多いのが、現代日本の有り様です。

持久走に強いタイプで、ヘトヘトにならないで、自分の知っている範囲でいろいろとあたってみて、なんとなく、自分の波長に合う住宅を作っている人を選んでいく、そう人は希です。

自分の理想を作り上げて、私のタイプはこういう人。というのは、住宅を考えることの一部分であって、誰に依頼するのか、というのが、実際は大きな影響を与えてくるものです。いざ結婚したはいいが、自分の思っていた方ではなかったー(泣!と、ゲンナリするという展開、そういう展開が住宅にもありえます。

上記のような小言は、バーベキューへ行く前にスーパーマーケットに立ち寄り、必要な食材などを買おうとする人に向かって、その肉は、健康な牛の肉なのか、理想的なご飯を食べたのか、いやその牛は、鉄格子のオリに嵌められて、ただただ太らされるという生活を送った牛なんだぞ、ヘンな注射も打たれてるぞ、本当にその肉でいいのか。
などのような小言を言っているに等しいのですが、その相手がバーベキュー開始時刻の二時間前にスーパーマーケットに行っているという時点で、もう手遅れなので、小言も程々にすべきですが、こういう、スーパーマーケット的住宅と言うのが余りにも氾濫しているので、もうそれ以外の住宅が、日本に存在するというのが忘れられしまったのではないだろうか、と言う危惧を、昨今の消費増税駆け込み需要の状況を眺めて、感じているところです。

設計者がだれか、というのが、実は最大のキーポイントです。
大工や町の工務店、少し大きな地方の住宅メーカー、全国規模の大手の住宅メーカー、そして、設計事務所、さらには、自分自身、というラインナップが設計者の一覧ですが、「自分」はのけておいて、それ以外のなかから、選んで行くというのが実際ですから、「自分」ではできないからこそ、相手がどんなものをつくっているのか、その実際の建物を見て行かないと、しかも数多く見て行かないと、自分の理想と相手(設計者)の実態が分かってこないというのが、こういう大きな事業を行なっていく時の行き方だと思います。

ですので、自分の理想を設定するのは、それはそれで必要でしょうが、それとともに、もしくはそれよりも、相手が誰なのか、ということが大事ですね。設計者を選んでいくというのは、結婚を考えてお付き合いをするようなものです。私はそう思います。

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