薪ストーブには土間が良い | 建築随想「仙芳丸航海日誌」
ヤマグチ建築デザイン
薪ストーブには土間が良い
薪ストーブに憧れる方が最近多いですが、五年間のあいだ、実際使ってみると、いろいろなことが分かってきます。

まず、薪の調達です。丸太で仕入れるとチェーンソーで切ったり斧で割る必要もあります。それを避けて薪の状態で買うと高価になるのは目に見えています。チェーンソーには手入れが必要で、私のように燃料と潤滑オイルを間違って入れると分解する必要があります。はい、失敗談です(泣。チェーンの刃が切れなくなると、研ぐか、もしくは新しいものを購入しないといけません。まあ、当たり前ですね。
私は仕事などで木材を無償で入手できますが、燃料を安価に入手できる目処が立たないと、日常使いは難しいかもしれません。

第二段階は、薪を室内に運ぶ段階です。私は薪をそれなりの大きさの車付きのカーゴで、運んでいますが、それは居間が下足のままで行き来できる土間(モルタル塗りの土間)だからで、さらに家の外と中がほぼ段差が無く、楽に運べるからです。これが、通常の住宅のように、地面から60センチ程の段差があれば、何段かの階段を経て持ち運ぶことになります。
また、薪を家の中に運べば、当然ながら、木のクズやら、土やら虫やらが室内に侵入しますので、通常なら気になるところですが、日頃から土足生活ですので、それほどでもありません。掃除の際には、ホウキで掃き、外の井戸水で濡らしたモップで拭き取れば、奇麗さっぱりです。

つぎに焼いた後の後始末です。木は燃えれば灰になります。当たり前ですね。もう建築の仕事をし始めてずいぶん経ちますが、木材の堅さというものが、木の燃えるスピードに影響する様は大変興味深いものです。杉はあっという間に燃えて、松は長持ちします。ヒノキはその間で、樫の木などいわゆる「堅木カタギ」はずいぶんと長持ちします。燃えた後の灰は、さらさらの砂よりも小さい粒子で、そこら中に飛び散りますので、木のクズの比ではなく室内を汚して行きます。そこでも、土間であることが味方してくれて、後の掃除が楽になっています。灰にならずに炭状態のものの掃除も同様です。

最後に薪ストーブの本来の機能である暖かさです。比熱(熱を蓄える能力)の大きいモルタルなどの土間にしていれば(土の土間タタキは耐久性や掃除、ホコリなどの面からお勧めしません)、室内の温度変化が緩くなりますので、(冷)暖房の熱源がその働きを停止しても、一定時間は暖かさ(や冷たさ)が継続できます。私の家ではそれを狙ってレンガの壁も設置しており、また外壁はすべて土の壁にしていますので、石膏ボードの壁で合板の床の住宅よりも、より効果があります。温度変化が緩やかになると、少しだけ健康になった気分に成ります。

私はかつて栄えた港町下津井で明治末期39年築の住宅に生まれ育ち、京町家のような「通り土間形式」の住宅で20年過ごしました。30歳の頃、自分のこれからの住まいを考える際、その原体験があり、土間の住宅にしたということですが、土間の住宅というのは、じつは、薪ストーブにとても便利だというのが、ここ最近の実感です。

薪ストーブには土間が合います。合いますと言うか、薪ストーブを設置するなら、セットで土間とするべきです。5年間住んでみて、そのように思います。ぜひ、みなさま、セットでいかがでしょうか。


(下津井の家の土間、モルタル土間です)
| 23:19 | comments(0) | - |

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